■知っておくと安心!雑損控除
■取引相場のない株式(非上場株式)の評価方法の見直し(令和9年度税制改正で調整見込み)
国税庁は令和8年4月、取引相場のない株式(非上場株式)の相続税評価について、相続税法の時価主義の下、適正な評価制度の在り方を検討するため「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」を設置しました。令和6年11月、会計検査院検査報告により「異なる規模の会社間での公平性や社会経済の変化に考慮し、より適切なものとなるよう検討を」との指摘を受けたことが背景にあります。具体的には次のとおりです。
〇各評価方式(類似業種比準方式・純資産価額方式)の間で評価額に乖離が生じており、類似業種比準方式による価額を適用する割合が高い規模の大きな会社ほど、株式の評価額が相対的に低く算定されること。
〇配当還元方式の還元率が、近年の金利の水準と比べて相対的に高い率となっているおそれがあること。
第1回有識者会議は4月20日に行われ、今後も定期的に開催される予定です。ここでの議論を経た上で、令和9年度税制改正において最終調整される見込みとなっています。
評価方法の見直しが行われた場合、比較的規模の大きな会社の自社株評価額が上がると想定されています。企業によっては、早めの自社株対策が求められるでしょう。
有識者会議による議論を注視しておきましょう(なお、議事要旨は国税庁HPから公開されています)。
■「飲食料品に消費税をかけない」とは?0%か、非課税か―どうなる?消費税の取り扱い
1.仕入税額控除の対象となるもの
消費税の納付税額は、課税期間中の課税売上げに係る消費税額からその課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額を控除(仕入税額控除)して計算します。
課税仕入れとは、事業者が、事業として他の者から資産の譲り受けや借り受けを行うこと、または役務の提供を受けることをいいます。ただし、非課税や免税となる取引等は含まれません。課税仕入れとなる取引には次のようなものがあります。
〇商品などの棚卸資産の購入
〇原材料等の購入
〇機械や建物等のほか、車両や器具備品等の事業用資産の購入または賃借
〇広告宣伝費、厚生費、接待交際費、通信費、水道光熱費などの支払い
〇事務用品、消耗品、新聞図書などの購入
〇修繕費
〇外注費
なお、給与等の支払いは課税仕入れとなりませんが、加工賃や人材派遣料のように事業者が行う労働やサービスの提供の対価には消費税が課税されます。したがって、加工賃や人材派遣料、警備や清掃等を外部に委託している場合の委託料等は課税仕入れとなります。
2.仕入税額控除の計算方法(本則課税の場合)
仕入控除税額の計算方法は、次のとおり事業者によって異なります。
〇課税期間中の課税売上高が5億円以下かつ課税売上割合が95%以上の事業者
⇒課税期間中の課税売上に係る消費税額から、その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除
〇課税期間中の課税売上高が5億円超または課税売上割合が95%未満の事業者
⇒課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除するのではなく、課税売上に対応する部分のみを控除(「個別対応方式」または「一括比例配分方式」のいずれかの方式によって計算した仕入控除税額を、その課税期間中の課税売上に係る消費税額から控除)
■食事支給に係る所得税非課税限度額の見直し
1.現物給与の取り扱い(金銭による給与とは異なる特別の取り扱いが定められているもの)
現物給与には、①職務の性質上欠くことのできないもので主として使用者側の業務遂行上の必要から支給されるもの、②換金性に欠けるもの、③その評価が困難なもの、④受給者側に物品などの選択の余地がないものなど、金銭による給与等と異なる性質があり、また、⑤政策上特別の配慮を要するもの―などもあるため、食事の支給のほか、特定の現物給与については、次のような特別の取り扱いが定められています(抜粋)。
| 〈区分〉 | 〈取り扱い〉 |
| 〇制服等の支給 | 職務の性質上制服を着用しなければならない人に対して支給または貸与する制服その他の身の回り品、事務服、作業服等については課税されません。 |
| 〇社宅等の貸与 | 使用人等に対して無償または低額の賃貸料で社宅や寮等を貸与することによりその使用人等が受ける経済的利益については、使用人等から一定の算式により求めた社宅等について通常支払うべき賃貸料の額以上の賃貸料を徴収していれば課税されませんが、使用人等から徴収している賃貸料が、その社宅等について通常支払うべき賃貸料の額を下回っている場合には、その差額が給与所得とされます。 なお、役員に貸与している社宅等が、いわゆる豪華社宅である場合には、通常の賃貸料の額は一般の賃貸住宅とした場合に通常支払うべき使用料の額により評価することとされています。 |
| 〇永年勤続記念品等の支給 | 永年にわたり勤務した人の表彰に当たり、その記念として旅行、観劇等に招待し、または記念品を支給することによる経済的利益で、その表彰が、おおむね10年以上勤務した人を対象としたものであるなど一定の要件を満たすものについては、課税されません。 |
| 〇創業記念品等の支給 | 創業記念、増資記念、工事完成記念または合併記念等に際し、その記念として支給する記念品で、その支給する記念品が、社会通念上記念品としてふさわしいものであって、その価額(処分見込価額により評価した価額)が10,000円以下のものであるなど一定の要件を満たすものについては、建築業者、造船業者等が請負工事または造船の完成等に際して支給されるものを除き、課税されません。 |
| 〇商品、製品等の値引販売 | 使用者の取り扱う商品、製品等の値引販売をすることによる経済的利益については、その値引販売の価額が、使用者の取得価額以上で、通常他に販売する価額のおおむね70%以上であるなど一定の要件を満たす場合には、課税されません。 |
2.食事価額の判定(消費税の取り扱い)
非課税限度額「月額7,500円」であるかどうかの判定は、消費税および地方消費税の額を除いた金額をもって行うこととなりますが、その金額に10円未満の端数が生じた場合にはこれを切り捨てることとなります。
また、食事の支給(提供)方法により適用税率が異なりますので注意が必要です。
〇使用者(事業者)が弁当を単に購入して従業員等に支給する場合
使用者と弁当事業者との取引は、飲食料品の譲渡となる⇒軽減税率(8%)が適用
〇弁当事業者が弁当を提供する際に、配膳等の役務の提供を伴う場合
いわゆる「ケータリング」⇒標準税率(10%)が適用
〇食堂での食事
飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供に該当⇒標準税率(10%)が適用
1.令和8年4月1日以後取得する事業用資産の取り扱い(金額基準/予定)
令和8年度税制改正の内容を踏まえると、中小企業者等の場合、令和8年4月1日以後に取得する少額な減価償却資産は、次のようにまとめられます(金額基準/予定)
〇10万円未満:「消耗品費」等とて購入して購入したその期に全額費用計上が可能
〇10万円以上20万円未満:「一括償却資産」として3年均等償却が可能
〇40万円未満:年間合計300万円まで、その期に全額費用計上が可能
〇40万円以上:固定資産に計上(法定耐用年数に応じた期間にわたり、減価償却が必要)
2.設備投資に係る税制の見直し(中小企業向けの改正内容)
設備投資に係る中小企業向けのその他の税制について、令和8年度税制改正により、
次の見直しが行われます。
(1)中小企業経営強化税制
工具および器具備品の取得価額要件が、40万円以上(現行:30万円以上)に引き上げられます(所得税においても同様)。
(2)中小企業投資促進税制
工具の取得価額要件のうち「1台または1基の取得価額が30万円以上の工具の取得価額の合計額が120万円以上であること」との要件が、「1台または1基の取得価額が40万円以上の工具の取得価額の合計額が120万円以上であること」とされます(所得税についても同様)。
(3)中小企業防災・減災投資促進税制(特定事業継続力強化設備等の特別償却制度)
器具備品の取得価額要件が、40万円以上(現行:30万円以上)に引き上げられます(所得税についても同様)。
■インボイス制度「経過措置」の内容が変わります
(1)簡易課税制度を適用した方が消費税の納付税額が少なくなる場合
令和8年度税制改正により、インボイス発行事業者である個人事業者は、現在「2割特例」を適用している個人事業者も含め、令和9年分・令和10年分についても「3割特例」が適用できます。一方で、①法人は適用対象外②納付税額は売上に係る消費税額の「2割」→「3割」へと引上げられる―ため、多くの場合、消費税の納税額が増えることとなります。
特に、簡易課税制度を適用して申告する場合、卸売業では、90%、小売業では80%のみなし仕入率が適用されるため、令和8年度税制改正の内容を踏まえると、これらの業種では簡易課税制度を適用するほうが、消費税の納付税額が少なくなることに留意しましょう。
(2)「2割特例」を適用した課税期間後の簡易課税制度の選択
簡易課税制度を適用して申告する場合には、原則として、その適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。
この点、「2割特例」の適用を受けた事業者が、その適用を受けた課税期間の翌課税期間中に納税地を所轄する税務署長にその課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した場合には、その課税期間の初日の前日に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出したものとみなされます。
令和8年分まで「2割特例」により申告を行った個人事業者が翌年分から簡易課税制度の適用を受けようとする場合には、令和9年中に「消費税簡易課税制度選択届出書(令和9年分から、簡易課税制度の適用を受ける旨を記載したもの)」を提出すれば、令和9年分から、簡易課税制度の適用を受けることができます。
(3)免税事業者等との取引について(再確認)
免税事業者等の小規模事業者は、売上先(買手側)の事業者と比べて取引条件についての情報量や交渉力の面で格差があり、取引条件が一方的に不利になりやすい場合も想定されます。このような状況下で、仕入税額控除の控除可能割合が引き下げられることを機に、買手側の意向で取引条件が見直される場合、その方法や内容によっては、買手側は独占禁止法または取適法等により問題となる可能性があります。取引先の免税事業者等との間で取引価格等について再交渉する場合は、免税事業者等と十分に協議を行い、買手側の都合のみで低い価格を設定する―等の行為をしないよう、注意する必要があります。
■こんな収入はありませんか?会社員(給与所得者)でも、申告モレにご用心
(1)一時所得
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。次のようなものが該当します。
〇懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除く)
〇競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く)
〇生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除く)や損害保険の満期返戻金等
〇法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除く)
〇遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
〇資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの
(2)雑所得
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。副業(配達員、ネット販売、アフィリエイトなど)による収入の多くは、「雑所得」になりますが、収入の内容や規模によっては「事業所得」等として扱われることもあります。
(3)金地金の譲渡による所得
金地金を売ったときの所得は、原則、譲渡所得として、給与所得など他の所得と合わせて総合所得の対象となります。ただし、以下の場合は、譲渡所得以外の所得として課税されます。
①金地金の譲渡が営利を目的として継続的に行われている場合には、その実態に応じて「事業所得」または「雑所得」となります。
②金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は金地金の現物の譲渡とは異なり、実態は金融取引に近いことから、金融類似商品の収益として一律20.315%の税率による源泉分離課税が適用されます。
金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は、源泉徴収だけで課税が終了しますので、他の所得と合算して確定申告をすることができません。また、扶養親族などに当てはまるかどうかを判定するときの所得からも除かれます。
■2026年は制度改正が目白押し!
(1)「子ども・子育て支援金」の徴収開始
「子ども・子育て支援金」制度は、子育て支援の財源を確保するために、2026年度から2028年度にかけて医療保険料とあわせて徴収されるものです。高齢者や事業主を含む全世代・全経済主体から、所得に応じて徴収されることとなります。2026年度の加入者1人あたり平均負担月額(全制度平均)は250円となる見込みです。
独身者や子どもを持たない世帯は、負担があるにもかかわらず直接的な利益を受けにくいため、SNS等では「独身税」といわれることがあります。
(2)在職老齢年金制度の見直し
在職老齢年金制度は、年金を受給しながら働く高齢者について、賃金と老齢厚生年金の合計が一定の基準を超えた場合、老齢厚生年金が減額される制度です。2026年4月1日からこの基準が、月51万円(2025年度の金額)から62万円へ引き上げられます。
人手不足が深刻となる中、高齢者の活躍の重要性が高まっています。その一方で、在職老齢年金制度が高齢者の労働意欲を削ぎ、さらなる労働参加を妨げている例も指摘されていました。高齢者の活躍を後押しし、働きたい人が働きやすい仕組みとする観点からこのような見直しが行われました。
(3)防衛特別法人税の創設
防衛特別法人税は、基準法人税額が0円または基礎控除額(年500万円)の控除により課税標準法人税額が0円となる場合でも、「防衛特別法人税確定申告書」を提出する必要があります。